野良ネコと…………ひなたぼっこ
ご両親に託された唯ちゃん。

同棲とも結婚とも違い………甘い生活だけとは違う責任を感じる。

どちらかと言うと………娘が出来た気分?

彼女として振る舞おうとする唯ちゃんを引き留めて

膝の間の定位置に座らせる。

もうすっかり慣らされた彼女は、抵抗することもなく

俺に体重を預ける。

後ろから抱きしめながら………

「偉かったね。お疲れさま。」と頭を撫でると

今日だけではない…………ずっと頑張ってきた彼女への労いが伝わったのか

クルリと向きを変え、俺に甘えながら……過去の自分を思い出している。

「先生………ありがとう。」と

心から幸せそうな声で言われると

愛しさが込み上げてくる。

さっきの唯ちゃんの言葉ではないけど

千尋ちゃんも…………唯ちゃんと同じくらいか……………

もしかすると、学生だったから……

唯ちゃん以上に辛い思いをしていたのかもしれない。…………と

さっきの和君の表情を見て思った。

教師で有りながら、生徒と付き合い…………その親に会うというのは

俺以上に怖く緊張したはずだから。

それでも………

揺らぐ事なく、真っ直ぐにお父さんを見つめ

交際の許しをもらうんだからな。

彼の男らしさに……お父さんも安心したのかもしれないな。

唯ちゃんを幸せにするというのは……

唯ちゃんの幸せはもちろん………千尋ちゃんや和君、お父さんやお母さんも

笑顔でいてもらわないといけないんだろうなぁ。

千尋ちゃんの和君を見つめる顔や

和君の千尋ちゃんを守ろうとする姿を見て…………

誰よりも嬉しそうな顔をしていたんだから……。

唯ちゃんの安心できる環境を作るには、家族や四人はもちろん

コウや咲ちゃん………

もしかしたら、俺の家族すら笑顔でないとダメなのかもしれない。

優しい唯ちゃんだからこその…………大変さかもな。
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