龍使いの歌姫 ~神龍の章~
「……」
アルは黙ってサザリナを睨み付ける。
「まあ良い。生け贄の娘に会ってくるとしよう。今度の生け贄は、とても清らかな心を持った娘らしいな」
サザリナは首だけアルを振り返る。
「お前もまた、心清らかだが、その娘には負けるだろう。同じ忌み子でもまた違うのだな」
そう言って喉の奥で笑うと、サザリナは牢屋を出ていった。
「……レイン」
守ると誓ったのに、自分は何も出来なかった。
それが、酷く腹立たしい。
「生け贄だと?…………はっ、くだらない。馬鹿げている」
神龍に生け贄を差し出したところで、何が変わると言うのだろう?
そもそも、何故神龍に生け贄が必要なのだろう?
「あいつが清らかだから……か」
ならば、尚更彼女は生け贄にすべきではないだろう。
(何とか、ここから出ないとな)
「それでね!私色々考えたの!貴女と何して遊ぼうかしらって」
「………えと」
「やっぱり着せ替えごっこが良いわね!貴女に似合いそうな服、いっぱい用意してあげる!」
セレーナはうきうきした様子で、先程から楽しそうにレインに話しかけている。
だが、レインの意見を聞く気は無しだ。
「セレーナ様!」
「?なぁに?」
少し大きめの声でセレーナを呼ぶと、ようやくこちらを見てくれた。
「あの、一つお伺いしたいのですが」
「?良いわよ。何でも聞いて?」
「……私と同じ髪の男性が、一緒に連れてこられた筈なのですが、どこにいるのかご存じありませんか?」
レインの言葉に、セレーナはうーんと首を捻った。
「そう言えば、竜騎士が赤い髪の『二人』を捕らえたって言ってたから、多分その人のことも入ってるわね。貴女は私がここに連れてくるよう言ったから、特別にお部屋があるけど……もう一人は」
ちらっとレインを見ると、セレーナはクスッと小さく笑う。
「牢屋にでも入ってるかもしれないわね!」
(牢屋に……)
アルをそこから出してもらえないかと思い、レインはセレーナに頼んでみようと口を開く。
「あの―」
だが、不意にノックの音が響いた。
アルは黙ってサザリナを睨み付ける。
「まあ良い。生け贄の娘に会ってくるとしよう。今度の生け贄は、とても清らかな心を持った娘らしいな」
サザリナは首だけアルを振り返る。
「お前もまた、心清らかだが、その娘には負けるだろう。同じ忌み子でもまた違うのだな」
そう言って喉の奥で笑うと、サザリナは牢屋を出ていった。
「……レイン」
守ると誓ったのに、自分は何も出来なかった。
それが、酷く腹立たしい。
「生け贄だと?…………はっ、くだらない。馬鹿げている」
神龍に生け贄を差し出したところで、何が変わると言うのだろう?
そもそも、何故神龍に生け贄が必要なのだろう?
「あいつが清らかだから……か」
ならば、尚更彼女は生け贄にすべきではないだろう。
(何とか、ここから出ないとな)
「それでね!私色々考えたの!貴女と何して遊ぼうかしらって」
「………えと」
「やっぱり着せ替えごっこが良いわね!貴女に似合いそうな服、いっぱい用意してあげる!」
セレーナはうきうきした様子で、先程から楽しそうにレインに話しかけている。
だが、レインの意見を聞く気は無しだ。
「セレーナ様!」
「?なぁに?」
少し大きめの声でセレーナを呼ぶと、ようやくこちらを見てくれた。
「あの、一つお伺いしたいのですが」
「?良いわよ。何でも聞いて?」
「……私と同じ髪の男性が、一緒に連れてこられた筈なのですが、どこにいるのかご存じありませんか?」
レインの言葉に、セレーナはうーんと首を捻った。
「そう言えば、竜騎士が赤い髪の『二人』を捕らえたって言ってたから、多分その人のことも入ってるわね。貴女は私がここに連れてくるよう言ったから、特別にお部屋があるけど……もう一人は」
ちらっとレインを見ると、セレーナはクスッと小さく笑う。
「牢屋にでも入ってるかもしれないわね!」
(牢屋に……)
アルをそこから出してもらえないかと思い、レインはセレーナに頼んでみようと口を開く。
「あの―」
だが、不意にノックの音が響いた。