龍使いの歌姫 ~神龍の章~
「……病にかかっているのなら、生け贄を差し出すよりも、病を治す方法を探すべきではありませんか?」
神龍が病に犯される度に、生け贄を捧げるなど間違っている。
生け贄を捧げても、結局治るわけではなく、一時しのぎにしかならないだろう。
「神龍様を治す方法は無い。そもそも病の原因が分からぬのだからな」
「……貴女は国の占い師で、生け贄として差し出す人間も分かりましたよね。それなのに、病の原因は分からないのですか?」
占い師は医者では無いだろう。だから、分からなくても仕方ないとは思う。
だが、何でもお見通しという感じで話すサザリナならば、病の原因を突き止めることは可能ではないかと思った。
「わたくしは予言をする者であって、医者ではない。それに、占いの結果も断片的な情報しか得られん。お前を見付けた時は『赤い髪』、『娘』、『山の奥の小屋』これだけだ」
その少ない情報で、レインを見つけ出したとサザリナは言った。
「さて、お喋りはおしまいだな」
「!」
レインが行動を起こすよりも早く、サザリナはレインの両肩を強く押して、神龍のいる結界へと放り込んだ。
「!………痛っ………」
尻餅を付いて、レインは痛みに顔を歪ます。
「せめて、お前が食われる瞬間は見届けてやろう。本当なら身を清めてからの方が良かったのだが。何しろ神龍様には時間がないからな」
レインは何とか立ち上がると、結界へと走る。そして、結界を叩いた。
だが、ガラスを叩いているかのように固く、自分の手が痛むだけだか、それでも叩くことを止めない。
「出してください!私はここで死ぬわけにはいかないんです!」
両手を握り締め、何度も何度も叩く。
与えられた衝撃は全部自分の手へと返ってくるため、レインの手は真っ赤に染まっていた。
下手をしたら、皮膚の下で出血しているかもしれない。
「……諦めろ。お前が食われることで、神龍様が救われる。神龍様が救われるということは、国が救われるんだ。むしろ、名誉な事なのだぞ」
(……名誉?)
こんなことが、名誉な事だなんてレインは思わない。
神龍が病に犯される度に、生け贄を捧げるなど間違っている。
生け贄を捧げても、結局治るわけではなく、一時しのぎにしかならないだろう。
「神龍様を治す方法は無い。そもそも病の原因が分からぬのだからな」
「……貴女は国の占い師で、生け贄として差し出す人間も分かりましたよね。それなのに、病の原因は分からないのですか?」
占い師は医者では無いだろう。だから、分からなくても仕方ないとは思う。
だが、何でもお見通しという感じで話すサザリナならば、病の原因を突き止めることは可能ではないかと思った。
「わたくしは予言をする者であって、医者ではない。それに、占いの結果も断片的な情報しか得られん。お前を見付けた時は『赤い髪』、『娘』、『山の奥の小屋』これだけだ」
その少ない情報で、レインを見つけ出したとサザリナは言った。
「さて、お喋りはおしまいだな」
「!」
レインが行動を起こすよりも早く、サザリナはレインの両肩を強く押して、神龍のいる結界へと放り込んだ。
「!………痛っ………」
尻餅を付いて、レインは痛みに顔を歪ます。
「せめて、お前が食われる瞬間は見届けてやろう。本当なら身を清めてからの方が良かったのだが。何しろ神龍様には時間がないからな」
レインは何とか立ち上がると、結界へと走る。そして、結界を叩いた。
だが、ガラスを叩いているかのように固く、自分の手が痛むだけだか、それでも叩くことを止めない。
「出してください!私はここで死ぬわけにはいかないんです!」
両手を握り締め、何度も何度も叩く。
与えられた衝撃は全部自分の手へと返ってくるため、レインの手は真っ赤に染まっていた。
下手をしたら、皮膚の下で出血しているかもしれない。
「……諦めろ。お前が食われることで、神龍様が救われる。神龍様が救われるということは、国が救われるんだ。むしろ、名誉な事なのだぞ」
(……名誉?)
こんなことが、名誉な事だなんてレインは思わない。