龍使いの歌姫 ~神龍の章~
「竜騎士?レインはどこ?」
レインが神龍と対峙していた時、セレーナはレインのいた部屋へと戻ってきた。
「分かりませんが、恐らくサザリナ様の所かと」
竜騎士が答えると、セレーナは竜騎士に詰め寄る。
「サザリナですって?!何であの占い師が、私のレインを連れていくの?!」
「………」
竜騎士は答えられなかった。
(……生け贄に選ばれた彼女は、恐らくはもう神龍様に食べられているだろう)
だが、それをセレーナに伝える訳にはいかなかった。今のセレーナは何をしだすか分からないのだ。
(……彼女が……生け贄……)
「っ!……姫様、私は少しお側を離れますが、姫様はここにいてください」
「あら?何故?」
不思議そうにこちらを見上げる瞳に、竜騎士は何も写していないかのような、静かな瞳で見返す。
「……もしかしたら、またここに戻ってくるかもしれません。入れ違いになってはいけませんから」
レインがここに戻った時、セレーナがいないと困ると、竜騎士は言う。
「ああ!確かにそうね!じゃあ、私はここで待ってるわ!……ふふっ、楽しみね」
「では、失礼致します」
部屋を出ると、竜騎士は城の地下へと向かうために廊下を走っていく。
(何故、俺は……)
彼女が死ぬかもしれないと思った瞬間、体が動いていた。
「くっ……」
訳の分からない自分の行動に苛立ちながらも、竜騎士は走る速度を緩めなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ………っ……はぁ」
荒く息を繰り返し、レインは神龍を見上げている。
振り下ろされた刃を、ギリギリで避けたが、後一歩動くのが遅ければ、真っ二つにされていただろう。
『…………』
「ほぅ。まさか避けるとは」
サザリナは感心したようにレインを見ていた。大抵の者は恐怖で体が動かず、すぐに体を引き裂かれる。
「……私はまだ……死にたく……ない!」
アルやティアやゼイル。
大好きな皆といるためにも、この国の真実を知るためにも、今ここで死んでる暇なんて無い。
「意思の強い娘だ。だが、お前が死ぬ運命は変えられない」
「……そんなの、分かりません」
変えられないなど、何故分かるのだろう。自分の運命ならば、自分で変えられる筈だ。
変えられないと諦めたくはない。何としても変えてみせる。
『ガァァァァァ!』
再び刃が振り下ろされ、レインは横へと転がるように飛び退く。
だが、少し反応が遅かったせいか、肩に痛みが走った。
「うぁっ!!」
血が流れ、肩の部分の布は切り裂かれたことで、捲れていた。
「!それは!!」
「うっ………?」
サザリナは、レインの前に転がった物に目を見開く。
「それは……まさか、龍笛?!」
レインが神龍と対峙していた時、セレーナはレインのいた部屋へと戻ってきた。
「分かりませんが、恐らくサザリナ様の所かと」
竜騎士が答えると、セレーナは竜騎士に詰め寄る。
「サザリナですって?!何であの占い師が、私のレインを連れていくの?!」
「………」
竜騎士は答えられなかった。
(……生け贄に選ばれた彼女は、恐らくはもう神龍様に食べられているだろう)
だが、それをセレーナに伝える訳にはいかなかった。今のセレーナは何をしだすか分からないのだ。
(……彼女が……生け贄……)
「っ!……姫様、私は少しお側を離れますが、姫様はここにいてください」
「あら?何故?」
不思議そうにこちらを見上げる瞳に、竜騎士は何も写していないかのような、静かな瞳で見返す。
「……もしかしたら、またここに戻ってくるかもしれません。入れ違いになってはいけませんから」
レインがここに戻った時、セレーナがいないと困ると、竜騎士は言う。
「ああ!確かにそうね!じゃあ、私はここで待ってるわ!……ふふっ、楽しみね」
「では、失礼致します」
部屋を出ると、竜騎士は城の地下へと向かうために廊下を走っていく。
(何故、俺は……)
彼女が死ぬかもしれないと思った瞬間、体が動いていた。
「くっ……」
訳の分からない自分の行動に苛立ちながらも、竜騎士は走る速度を緩めなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ………っ……はぁ」
荒く息を繰り返し、レインは神龍を見上げている。
振り下ろされた刃を、ギリギリで避けたが、後一歩動くのが遅ければ、真っ二つにされていただろう。
『…………』
「ほぅ。まさか避けるとは」
サザリナは感心したようにレインを見ていた。大抵の者は恐怖で体が動かず、すぐに体を引き裂かれる。
「……私はまだ……死にたく……ない!」
アルやティアやゼイル。
大好きな皆といるためにも、この国の真実を知るためにも、今ここで死んでる暇なんて無い。
「意思の強い娘だ。だが、お前が死ぬ運命は変えられない」
「……そんなの、分かりません」
変えられないなど、何故分かるのだろう。自分の運命ならば、自分で変えられる筈だ。
変えられないと諦めたくはない。何としても変えてみせる。
『ガァァァァァ!』
再び刃が振り下ろされ、レインは横へと転がるように飛び退く。
だが、少し反応が遅かったせいか、肩に痛みが走った。
「うぁっ!!」
血が流れ、肩の部分の布は切り裂かれたことで、捲れていた。
「!それは!!」
「うっ………?」
サザリナは、レインの前に転がった物に目を見開く。
「それは……まさか、龍笛?!」