龍使いの歌姫 ~神龍の章~
「私にとって、大切なのは……」
頭の中に、ティアの姿が浮かんだ。
初めて卵を拾った日から、記憶が溢れだす。
卵から生まれたティアは、好奇心旺盛で、食欲も旺盛だ。
何にでも興味を示し、目が離せなかった。
可愛くて仕方がなかった。
「………っ」
鼻の奥が、ツンと痛んだ。そして、涙が溢れる。
(……ティアに……会いたい)
金色の美しい龍の姿が、神龍と重なる。そして、レインはハッとした。
「……そうか……そうだったんだ……ティア」
ティアを抱いている時、レインは心がとても落ち着いた。
姉を失っても、ティアの卵を抱き抱えていたお陰で、自分は穢れずにすんだ。
(……私の穢れは、ティアが癒してくれていたんだ)
神龍と同じように。
「……お前に、僕の話をしておく」
「?」
「……僕はどうやら、お前の兄らしい。……いや、従兄とでも言うべきか」
「!」
アルはレインに、自分が龍王とその兄の間に生まれた子供だと話した。
「……アルが……」
「だが、僕は僕でしかない。お前と違って城に住んでいた記憶もないしな。僕は龍に育てられたから」
アルはレインを見ながら、口を開く。
「お前は僕を、どっちだと思う?……アルか?それともアルビオか?」
「……アルは……アルだよ」
自分の知っているアルは、龍と共に生きる青年。それ以外の何者でもない。
「僕も同感だ」
「……そうだね。……そうだよ」
自分は自分でしかない。レインはそう思えた。
「レイン。お前はこれからどうしたい?どう生きていきたい?」
「私は………」
答えなど、とっくに決まっている。
「私は!」
レインは立ち上がり、強い意思を宿した瞳でアルを見下ろす。
「私は、ティアと皆と生きたい。そのために、そう出来る道を探したい。……そして、神龍様を、救いたい」
レインと神龍が交わした約束。
『いつか私を―救っておくれ』
それが、神龍の願い。
頭の中に、ティアの姿が浮かんだ。
初めて卵を拾った日から、記憶が溢れだす。
卵から生まれたティアは、好奇心旺盛で、食欲も旺盛だ。
何にでも興味を示し、目が離せなかった。
可愛くて仕方がなかった。
「………っ」
鼻の奥が、ツンと痛んだ。そして、涙が溢れる。
(……ティアに……会いたい)
金色の美しい龍の姿が、神龍と重なる。そして、レインはハッとした。
「……そうか……そうだったんだ……ティア」
ティアを抱いている時、レインは心がとても落ち着いた。
姉を失っても、ティアの卵を抱き抱えていたお陰で、自分は穢れずにすんだ。
(……私の穢れは、ティアが癒してくれていたんだ)
神龍と同じように。
「……お前に、僕の話をしておく」
「?」
「……僕はどうやら、お前の兄らしい。……いや、従兄とでも言うべきか」
「!」
アルはレインに、自分が龍王とその兄の間に生まれた子供だと話した。
「……アルが……」
「だが、僕は僕でしかない。お前と違って城に住んでいた記憶もないしな。僕は龍に育てられたから」
アルはレインを見ながら、口を開く。
「お前は僕を、どっちだと思う?……アルか?それともアルビオか?」
「……アルは……アルだよ」
自分の知っているアルは、龍と共に生きる青年。それ以外の何者でもない。
「僕も同感だ」
「……そうだね。……そうだよ」
自分は自分でしかない。レインはそう思えた。
「レイン。お前はこれからどうしたい?どう生きていきたい?」
「私は………」
答えなど、とっくに決まっている。
「私は!」
レインは立ち上がり、強い意思を宿した瞳でアルを見下ろす。
「私は、ティアと皆と生きたい。そのために、そう出来る道を探したい。……そして、神龍様を、救いたい」
レインと神龍が交わした約束。
『いつか私を―救っておくれ』
それが、神龍の願い。