龍使いの歌姫 ~神龍の章~
「……明後日で、私は十九才になる。そしたら、師匠と過ごしたあの場所へ行こうと思うんだ」
「………」
ティアはレインとアルを囲むように丸まりながら、二人の話を聞いていた。
「アルも、一緒に来てくれる?」
「……お前がどうしてもって言うならな」
「どうしても、来てほしいな!」
レインは、アルと過ごすうちに、何となくアルのことが分かってきた。
アルは、約束したことは破らないということ。ぶっきらぼうな態度の中に、優しさがあること。
だから、レインはアルを信じている。レインにとっては恐らく、友人らしい友人と言える存在だろう。
「……仕方ないから、一緒に行ってやる」
「ありがとう!」
笑ってお礼を言うと、アルは少しだけ口端を上げた。
『アル、笑ったの!』
「笑ってない」
『絶対笑ってたの!ティアは見たの!』
「だから、笑ってない!」
ティアとアルは、笑ったか笑ってないかで議論を始めてしまい、レインはそんなやり取りを苦笑いしながら見ていた。
(師匠。貴方は、何を考えていたんですか?)
ふと、レオンの顔を思い出す。そして、レオンの言葉も。
(貴方は私に、貴方のことを何一つ教えてくれませんでしたね)
例えレオンの過去に何かあって、それを隠していたとしても、レインはレオンを責めたりなどしない。
レオンが何者でも、共に過ごしたレオンの姿は、レインにとっては本物だ。
だから、レオンを軽蔑したりなどしない。それは、ティアナにも言えることだった。
もし、ティアナが魔女だと早く知っていても、きっとレインは受け入れられた。
(姉さんが魔女だったなら、私は何なんだろう?)
レインはまだ、自分がティアナと血の繋がりがないことを知らない。
(私は魔女なのかな?それとも人間なのかな?)
姉のように魔法など使えない。ただの人間だとは思う。
(………私は、誰?)
その質問の答えなど、出る筈もなく、レインは空を見上げていた。
「………」
ティアはレインとアルを囲むように丸まりながら、二人の話を聞いていた。
「アルも、一緒に来てくれる?」
「……お前がどうしてもって言うならな」
「どうしても、来てほしいな!」
レインは、アルと過ごすうちに、何となくアルのことが分かってきた。
アルは、約束したことは破らないということ。ぶっきらぼうな態度の中に、優しさがあること。
だから、レインはアルを信じている。レインにとっては恐らく、友人らしい友人と言える存在だろう。
「……仕方ないから、一緒に行ってやる」
「ありがとう!」
笑ってお礼を言うと、アルは少しだけ口端を上げた。
『アル、笑ったの!』
「笑ってない」
『絶対笑ってたの!ティアは見たの!』
「だから、笑ってない!」
ティアとアルは、笑ったか笑ってないかで議論を始めてしまい、レインはそんなやり取りを苦笑いしながら見ていた。
(師匠。貴方は、何を考えていたんですか?)
ふと、レオンの顔を思い出す。そして、レオンの言葉も。
(貴方は私に、貴方のことを何一つ教えてくれませんでしたね)
例えレオンの過去に何かあって、それを隠していたとしても、レインはレオンを責めたりなどしない。
レオンが何者でも、共に過ごしたレオンの姿は、レインにとっては本物だ。
だから、レオンを軽蔑したりなどしない。それは、ティアナにも言えることだった。
もし、ティアナが魔女だと早く知っていても、きっとレインは受け入れられた。
(姉さんが魔女だったなら、私は何なんだろう?)
レインはまだ、自分がティアナと血の繋がりがないことを知らない。
(私は魔女なのかな?それとも人間なのかな?)
姉のように魔法など使えない。ただの人間だとは思う。
(………私は、誰?)
その質問の答えなど、出る筈もなく、レインは空を見上げていた。