龍使いの歌姫 ~神龍の章~
「人と龍の住む場所を、分ける?」
オウム返しに尋ねると、レインは頷く。
「人は人が治め、龍は龍が治めるべきです。どちらかが、どちらかを支配するのでも、治めるのでもなく。それぞれが、それぞれの生きるべき場所で……。そして、いつか私は、人と龍が共に生きれる方法を見つけます」
レインの言葉に、レオンは訝しげな視線を送る。
「その為にも、自分の穢れを自分で背負えるようにしていただきたいのです。……貴方なら、出来るでしょう?」
レオンはどこか探るように見ていたが、不意に小さく笑みを溢した。
「そっか……。君は、世界の仕組みを変える覚悟があるんだね?」
レオンの言葉に、レインは力強く頷く。
「龍が穢れを取り込む力を無くしてしまえば、人は自分でその穢れを背負うことになる。そして、いつか人は人同士で傷付けあうことになる。……それでも、君はそう望むんだね?」
「はい」
迷うこと無く、レインは頷いた。
例えどんな代償を支払うことになろうとも、世界の仕組みを変えた果てに、どんな未来が待っていたとしても。
「私は、迷いません」
「………分かった。では、願いを叶えよう。古代龍として、この世界を見守ってきた者として。……代償は―」
レインはレオンの言葉を待つ。
「君の魔力。もう君が歌っても、龍を癒すことは出来ないし、龍を殺すことも出来ない」
「……え?私の腕とか、足とかではなく?」
レインは目を見開いた。世界の仕組みを変えるほどの願いならば、その代償も大きい筈だ。
てっきり、体の一部か、あるいは自分の命と引き換えかと思っていた。
「僕は、君達にばかり代償を押し付けてきた。だから、今度は僕が代償を支払うべきだろう。足りない代償は、僕が支払う。……愛弟子の為だからね」
レオンはニッコリと笑うと、レインへと歩み寄る。
「……師匠?」
「……最後のお願いだ。…………一度だけで良いから。僕のこと、『お父さん』ってちゃんと呼んでほしい」
レインの頭に手をおき、レオンはどこか悲しそうに目を伏せた。
「………お父……さん」
「!………やっぱり、良い響きだよね」
目に涙を溜めながら、レオンはそう言いながら笑った。
オウム返しに尋ねると、レインは頷く。
「人は人が治め、龍は龍が治めるべきです。どちらかが、どちらかを支配するのでも、治めるのでもなく。それぞれが、それぞれの生きるべき場所で……。そして、いつか私は、人と龍が共に生きれる方法を見つけます」
レインの言葉に、レオンは訝しげな視線を送る。
「その為にも、自分の穢れを自分で背負えるようにしていただきたいのです。……貴方なら、出来るでしょう?」
レオンはどこか探るように見ていたが、不意に小さく笑みを溢した。
「そっか……。君は、世界の仕組みを変える覚悟があるんだね?」
レオンの言葉に、レインは力強く頷く。
「龍が穢れを取り込む力を無くしてしまえば、人は自分でその穢れを背負うことになる。そして、いつか人は人同士で傷付けあうことになる。……それでも、君はそう望むんだね?」
「はい」
迷うこと無く、レインは頷いた。
例えどんな代償を支払うことになろうとも、世界の仕組みを変えた果てに、どんな未来が待っていたとしても。
「私は、迷いません」
「………分かった。では、願いを叶えよう。古代龍として、この世界を見守ってきた者として。……代償は―」
レインはレオンの言葉を待つ。
「君の魔力。もう君が歌っても、龍を癒すことは出来ないし、龍を殺すことも出来ない」
「……え?私の腕とか、足とかではなく?」
レインは目を見開いた。世界の仕組みを変えるほどの願いならば、その代償も大きい筈だ。
てっきり、体の一部か、あるいは自分の命と引き換えかと思っていた。
「僕は、君達にばかり代償を押し付けてきた。だから、今度は僕が代償を支払うべきだろう。足りない代償は、僕が支払う。……愛弟子の為だからね」
レオンはニッコリと笑うと、レインへと歩み寄る。
「……師匠?」
「……最後のお願いだ。…………一度だけで良いから。僕のこと、『お父さん』ってちゃんと呼んでほしい」
レインの頭に手をおき、レオンはどこか悲しそうに目を伏せた。
「………お父……さん」
「!………やっぱり、良い響きだよね」
目に涙を溜めながら、レオンはそう言いながら笑った。