龍使いの歌姫 ~神龍の章~
そして、中庭へと出ると、レイン達はレオンを見送る。
「……それじゃ、僕は行くね」
「また、会えますよね?」
レインが声をかけると、レオンは振り返って頷く。
「うん。またね」
「……今度お会いしたら、私が作った歌、聞いてくださいね……師匠」
レインは笑って手を振る。
「……じゃなくて、お父さん!」
「!………うん。楽しみにしてるよ」
レオンは両腕を広げ、白銀の龍へと変わると、大きく翼を動かし、空へと舞い上がった。
見送るレイン達の姿が、とても小さくなっていくのを感じながら、レオンの体が光の粒に変わっていく。
(………嘘つきだな。僕は……)
世界の理を変えてしまえば、レオンの存在が保たれる訳がない。
例えレインから代償を支払ってもらっても、やはり足りないのだ。
どんなものにも、代償というのは存在する。例え、神に等しい力を持とうとも。
レオンもまた、この世界で生きる「生き物」なのだから。
(……彼女の魔力と、僕の存在そのものを代償として、この世界の仕組みを変えよう。だからどうか……この世界で生まれた子供達に、幸せが沢山降り注ぐことを、願おう)
レオンの姿は、ガラスが割れるような音と共に弾け、銀色の雨となって、地上へと降り注いだ。
銀色の雨が当たった瞬間、レインの中で何かが溶けて消えてしまったような感覚が沸き上がる。
「……ぁ………」
何故か、涙が溢れてきた。
「……どうした?レイン」
「………分から……ない。……何か、誰かにお別れを言われたような、何かが消えてしまったような気がして……」
レインが何を失ったのか、それはもう二度と思い出すことは無いだろう。
「……レイン」
ティアはレインの手を握ると、どこか大人びたような顔で微笑む。
「ティア?」
「大丈夫よ。絶対大丈夫なの」
ギュッと握る手に力を込めると、レインの顔はくしゃりと歪んだ。
(……皆がレオンを忘れても、私が覚えているの)
何故ティアだけ覚えているのか、それはティアにも分からない。
けれども、それで良いのだと、ティアは思った。
遠くの空には、綺麗な虹が掛かり、それはまるで、レオンそのもののようだった。
「……それじゃ、僕は行くね」
「また、会えますよね?」
レインが声をかけると、レオンは振り返って頷く。
「うん。またね」
「……今度お会いしたら、私が作った歌、聞いてくださいね……師匠」
レインは笑って手を振る。
「……じゃなくて、お父さん!」
「!………うん。楽しみにしてるよ」
レオンは両腕を広げ、白銀の龍へと変わると、大きく翼を動かし、空へと舞い上がった。
見送るレイン達の姿が、とても小さくなっていくのを感じながら、レオンの体が光の粒に変わっていく。
(………嘘つきだな。僕は……)
世界の理を変えてしまえば、レオンの存在が保たれる訳がない。
例えレインから代償を支払ってもらっても、やはり足りないのだ。
どんなものにも、代償というのは存在する。例え、神に等しい力を持とうとも。
レオンもまた、この世界で生きる「生き物」なのだから。
(……彼女の魔力と、僕の存在そのものを代償として、この世界の仕組みを変えよう。だからどうか……この世界で生まれた子供達に、幸せが沢山降り注ぐことを、願おう)
レオンの姿は、ガラスが割れるような音と共に弾け、銀色の雨となって、地上へと降り注いだ。
銀色の雨が当たった瞬間、レインの中で何かが溶けて消えてしまったような感覚が沸き上がる。
「……ぁ………」
何故か、涙が溢れてきた。
「……どうした?レイン」
「………分から……ない。……何か、誰かにお別れを言われたような、何かが消えてしまったような気がして……」
レインが何を失ったのか、それはもう二度と思い出すことは無いだろう。
「……レイン」
ティアはレインの手を握ると、どこか大人びたような顔で微笑む。
「ティア?」
「大丈夫よ。絶対大丈夫なの」
ギュッと握る手に力を込めると、レインの顔はくしゃりと歪んだ。
(……皆がレオンを忘れても、私が覚えているの)
何故ティアだけ覚えているのか、それはティアにも分からない。
けれども、それで良いのだと、ティアは思った。
遠くの空には、綺麗な虹が掛かり、それはまるで、レオンそのもののようだった。