血潮燃ゆーー月よ、星よ、我が祈りを聞け!
末席に座ると、上座に座った若い男が箸を止めた。

若いというより、まだ幼ささえ感じさせる。

髪は赤褐色で、頭のてっぺん辺りで束ねて後ろ手に結わえいる。

目鼻立ちのはっきりした色白の少年だ。

「昨夜は眠れたか?」

ふいに、いいえと答えそうになり息を飲みこむ。

「正直に申してみよ」

こちらを見つめる目が心なしか笑っている。

「目が赤い」

全てを見透かされ、ただ頷くしかなかった。

「すまぬな。伽木槌が夢を視たのだ、あの呻き声はキリシタンへの拷問の」

キリシタンへの拷問と聞いて踏み絵を思い出し、さらには十字架に縛りつけされたキリストの姿が浮かんだ。

脳天を貫く雄叫びを夜通し上げるほどの拷問とは、どのようなものかを想像し、歯が小さく鳴り、口に入れた味噌汁の大根を飲み込めない。
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