血潮燃ゆーー月よ、星よ、我が祈りを聞け!
「余程、恐ろしかったと見えるな。思い出させてしまったか」

「いえ……」

お茶で無理矢理に大根を流しこみ、口ごもると、少年は口の端に微かなエクボを見せ声を立てずに笑った。

「して……そなた、昨日は何故泣いておった?」

少年の言葉に首を傾げ、少年の顔をじっと見つめる。

「そなたの胸にあるのは十字架だな。我等のモノとは少し違っておるが」

首から下げた十字架を手に取り、何処が違うのかと思い、改めて見る。

少年に言われた通り、十字架は銀の首飾りの先にあり、少年のモノより小ぶりだった。

辺りを見回してみても、銀の首飾りをしているモノはいない。

皆、10ミリほどの黒っぽい数珠を首に下げ、その先にある十字架は一回り大きい。

花火大会で浴衣を着た。

年に浴衣を着るのは夏祭りと花火大会だけだ。


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