御曹司は運命を引き寄せる
会社最寄り駅の改札を抜けて電車に乗り込み、揺られること20分。
自宅最寄り駅に着いた私は、そこから自宅方向へ歩いて15分の場所にあるスーパーに立ち寄る。
ここから自宅まではさらに5分ほどだから、私にとってはなかなかの好立地。
帰り道に寄れる上に品揃えが良くて、私としては気に入っている。
「今日は何が安いのかな?」
外側の自動ドアをくぐって壁に張り出されたチラシを眺める。
お肉にお魚。特に野菜は天災の影響で全体的に値段が上がっているから、安いものは見逃したくない。
私は一通り目を通してふんふんと一人頷くと、よしと気合いをいれて内側のドアをくぐる。
その瞬間、ふるっと体が震える。
どこのスーパーも同じだけれど、寒いと感じるひんやりとした空気はどうしても慣れない。
まだ残暑が続く外との温度差が、寒がりの私には辛い。
この温度設定だけはどうにかならないものかと毎度不満に思いながらも、自宅の近くにあるだけでありがたいのだから贅沢は言えないと戒めて気持ちを切り替える。
私にできるのは手早く買い物を済ませて、さっさと帰ること。
私はカゴをもち野菜売り場から順に買い物を始める。
本当は晩御飯のメニューを全部決めてしまえばもっと早く済むのだろうけど、食費を安く抑えたいと思うとそれはなかなか難しい。
さほどこだわりもないし、一人暮らしで誰に気を遣う必要もないから、大体はスーパーの安いもの次第で決まっていくのが日常だ。
「今日は中華丼、でいいかな」
チンゲン菜が安くて美味しそうだし、他の野菜や豚肉は最悪安くなくても家にある。
キクラゲは入れたいけど、高いから我慢。
ぶつぶつと買い物しながらの独り言は傍目に見れば怪しいから気を付けているのだけれど、なかなか直らなくてちょっと諦めぎみだ。
チラシで確認したトマトやレタス、挽き肉もカゴにいれ、明日はパスタにしようと考えながら、私は買い物を終えるとエコバッグを下げて家路に着く。
築15年、10階建てマンションの5階505号室が私の部屋だ。
今日は買い物をしているからエレベーターを使ったけれど、何もない日は階段を使うとなかなか良い運動になる。
「ただいま」
ドアを開けて玄関で挨拶をするのは、自分自身の完全なオフモードへの切り替えも兼ねている。
電気をつけて廊下の奥の部屋へ進めばカモミールの香りが濃くなって、家に帰ったのだと実感がわく。
「……疲れた」
金曜と思うと元気になる人もいるかもしれないけれど、私はどちらかというと気が抜けてどっと疲れる。
本音を言うならすぐに横になりたいところ。
でも、それをしてしまうと本当に何もできなくなってしまうから、私は自分に喝を入れて鞄を先に片付けるとエプロンをしてさっそく料理にとりかかる。
「中華丼だけはあれだから、スープも作ろうかな……」
頭に今ある材料を思い浮かべながら呟いて、具はもやしと長ネギでいいやとあっさり決める。
女性の自炊にしては私のご飯は質素だろう。自覚がないわけじゃない。
でも、どうせ一人だと思えば手間隙かける気にはならないし、とにかく早く食べて早く寝たい欲求が勝る。
「まあ、いいよね。食べられれば」
自宅最寄り駅に着いた私は、そこから自宅方向へ歩いて15分の場所にあるスーパーに立ち寄る。
ここから自宅まではさらに5分ほどだから、私にとってはなかなかの好立地。
帰り道に寄れる上に品揃えが良くて、私としては気に入っている。
「今日は何が安いのかな?」
外側の自動ドアをくぐって壁に張り出されたチラシを眺める。
お肉にお魚。特に野菜は天災の影響で全体的に値段が上がっているから、安いものは見逃したくない。
私は一通り目を通してふんふんと一人頷くと、よしと気合いをいれて内側のドアをくぐる。
その瞬間、ふるっと体が震える。
どこのスーパーも同じだけれど、寒いと感じるひんやりとした空気はどうしても慣れない。
まだ残暑が続く外との温度差が、寒がりの私には辛い。
この温度設定だけはどうにかならないものかと毎度不満に思いながらも、自宅の近くにあるだけでありがたいのだから贅沢は言えないと戒めて気持ちを切り替える。
私にできるのは手早く買い物を済ませて、さっさと帰ること。
私はカゴをもち野菜売り場から順に買い物を始める。
本当は晩御飯のメニューを全部決めてしまえばもっと早く済むのだろうけど、食費を安く抑えたいと思うとそれはなかなか難しい。
さほどこだわりもないし、一人暮らしで誰に気を遣う必要もないから、大体はスーパーの安いもの次第で決まっていくのが日常だ。
「今日は中華丼、でいいかな」
チンゲン菜が安くて美味しそうだし、他の野菜や豚肉は最悪安くなくても家にある。
キクラゲは入れたいけど、高いから我慢。
ぶつぶつと買い物しながらの独り言は傍目に見れば怪しいから気を付けているのだけれど、なかなか直らなくてちょっと諦めぎみだ。
チラシで確認したトマトやレタス、挽き肉もカゴにいれ、明日はパスタにしようと考えながら、私は買い物を終えるとエコバッグを下げて家路に着く。
築15年、10階建てマンションの5階505号室が私の部屋だ。
今日は買い物をしているからエレベーターを使ったけれど、何もない日は階段を使うとなかなか良い運動になる。
「ただいま」
ドアを開けて玄関で挨拶をするのは、自分自身の完全なオフモードへの切り替えも兼ねている。
電気をつけて廊下の奥の部屋へ進めばカモミールの香りが濃くなって、家に帰ったのだと実感がわく。
「……疲れた」
金曜と思うと元気になる人もいるかもしれないけれど、私はどちらかというと気が抜けてどっと疲れる。
本音を言うならすぐに横になりたいところ。
でも、それをしてしまうと本当に何もできなくなってしまうから、私は自分に喝を入れて鞄を先に片付けるとエプロンをしてさっそく料理にとりかかる。
「中華丼だけはあれだから、スープも作ろうかな……」
頭に今ある材料を思い浮かべながら呟いて、具はもやしと長ネギでいいやとあっさり決める。
女性の自炊にしては私のご飯は質素だろう。自覚がないわけじゃない。
でも、どうせ一人だと思えば手間隙かける気にはならないし、とにかく早く食べて早く寝たい欲求が勝る。
「まあ、いいよね。食べられれば」