オオカミ御曹司、渇愛至上主義につき



私や工藤さん、加賀谷さん……そして、ついでにいうと松浦さんが勤めるのは、大手飲料メーカーだ。
新幹線も乗り入れる駅から徒歩十分ほどのオフィス街にある本社で働いている。

私たち三人が配属されているのは、第二品質管理部。
松浦さんが配属されているのが企画事業部だ。

第二品質管理部……略して、第二品管で行う仕事内容はというと、言葉通り、製造された製品の品質管理だ。

地方にある支部の工場ほど大きな施設ではないけれど、本社にも隣接された工場部分があり、そこでは製造ラインが動き、日夜、飲料製品を製造している。

六階建ての本社と、一階建ての工場の間には渡り廊下があり、自由に行き来ができるよう造られている。

工場の責任者が本社の会議室で行われる会議に出席するためだとか、あとは現場で働いている社員が本社にある食堂に来るだとか。

基本的に、現場の仕事は専門的知識を要するし、現場に入るためには作業着に着替えたり消毒を行ったり、アイメイクをしている場合には更にゴーグルまで必要になったりと結構大がかりな準備が必要となるため、本社の部署にいる社員が工場側に行くことはない。

ちなみに、本社側の社員には作業着着用のルールはないため、男性はスーツ、女性はオフィス用のカジュアルな格好が一般的だ。

第二品管ができた当初はおそらく、第一品管では補いきれなくなった部分を補佐していればよかったかもしれない仕事内容は、今や手を広げすぎて、〝これは本当に品管の仕事だろうか〟から〝え、絶対に違くない?〟まで様々だ。



< 22 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop