オオカミ御曹司、渇愛至上主義につき
加賀谷さんに告白したのは、半年前だ。
飲み会帰りのタクシーのなかで、隣に座った加賀谷さんは『寄りかかってていいから』と私の頭を自分の肩に抱き寄せた。
それは、珍しく私が酔ってしまっていたからで、心配からくる行動だったんだろう。
そのことは加賀谷さんの性格や声のトーンからわかっていたのに……伝わってくるぬくもりを前にしたら、気持ちが口をついていた。
『好きです』
静かなタクシーのなか。見上げると、加賀谷さんは目を見開いて言葉を失っていた。
まるで、今の松浦さんみたいに。