オオカミ御曹司、渇愛至上主義につき

「加賀谷さんは、私の告白に誠実に答えてくれた上、告白する前と変わらない態度で接してくれているのに、私は〝もしも同僚じゃなかったら違ったのかな〟とか……〝せめて遊び相手くらいにはしてもらえたのかな〟とか。
そんな不誠実なことばかりを未だに考えてるんです」

加賀谷さんは私を同僚として大事に思ってくれている。それは、加賀谷さんの態度から充分伝わってくる。
なのに……。

「適当に遊んで捨てられるだけだとしても、私が同僚じゃなくてただの女っていう立場だったらなって……そっちがよかったなんて。
そんなこと考えちゃうあさましい自分が、どうしょうもなく嫌いなんです。加賀谷さんの信頼を裏切っているみたいで」

今まで誰にも言ったことのない本音が、ポロポロとこぼれていた。

加賀谷さんを好きになってから幾度と陥った自己嫌悪。
心の真ん中でぽっかりと大きな口を開けているそこに、もう何度落ちただろう。

じめじめなんてしたくないのに、私の意思関係なしに落ち込む気持ちが鬱陶しい。

……っていうか。勝手に嫉妬して落ち込んで、自己嫌悪を繰り返している自分が。
もう振られているのに未だに加賀谷さんの一挙一動を気にして舞い上がったりくよくよしている自分が、どうしょうもなく――。

「でもそれ、気持ち悪いよね」

今まさに考えていたことを松浦さんに言われ驚く。
勢いよく見上げた私に、松浦さんは理解できなそうな顔を向けた。