不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
トートバッグはない。携帯はバッグの中だから、すぐに助けを呼べない。
髪も乱れ放題だったが構ってはいられない。すぐさま身を翻して走り出す。
コートの前を閉めていなかったので、内側に空気を入れた裾が後ろに膨らんではためいた。
『まゆこは考えるのは長いのに、動き出すと素早いのよね』
友人の一人が言っていたように、悩む時間に比べて動きは速い。身体の向きを変えた時点で走っている。
ようやく周囲が目に入った。
彼女はいま、広いホールの中心にいる。足下にはなんと、どこかのゲーム本にあった魔法陣が描かれていた。白く発光しているのを見て、不安で心臓が躍る。
大きな円と内側に描かれた複雑な文様の真ん中に立っていたまゆこは、走ることでそれを踏んで円の外へ出てゆく。
髪も乱れ放題だったが構ってはいられない。すぐさま身を翻して走り出す。
コートの前を閉めていなかったので、内側に空気を入れた裾が後ろに膨らんではためいた。
『まゆこは考えるのは長いのに、動き出すと素早いのよね』
友人の一人が言っていたように、悩む時間に比べて動きは速い。身体の向きを変えた時点で走っている。
ようやく周囲が目に入った。
彼女はいま、広いホールの中心にいる。足下にはなんと、どこかのゲーム本にあった魔法陣が描かれていた。白く発光しているのを見て、不安で心臓が躍る。
大きな円と内側に描かれた複雑な文様の真ん中に立っていたまゆこは、走ることでそれを踏んで円の外へ出てゆく。