不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「きゃぁああ……」

 いつの間にか叫んでいた。とにかく走る。

 廊下はまっすぐで長い。どこかの美術館か、テレビで特集していたヨーロッパの古城か、といった造りのような気がするが、とにかく広い。

廊下の窓から見えたのは、大きな屋敷の連なる窓やところどころに建つ数本の塔だ。

 突き当たりは両開きの扉になっている。運がいいことに外へ向かって開いていた。外は眩しいような日差しで満ちている。

 ――外へ出れば何とかなるよね? だれか教えてーっ。

 後ろから押し寄せてくる圧倒的な迫力が恐ろしい。

 あのダークな紺碧の瞳に凝視されながら追いかけられているのかと思うと、背中が焼け付きそうだ。
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