不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
扉を潜って、ぱんっと外へ出る。ベランダだった。何と広いベランダだ。
彼女の部屋の三倍ほどもあるベランダに突入して、滑り易そうな大理石の床を蹴って走る。最奥まで行った。
手すりを乗り越えさらに外へ、というところで足を止める。
左右に伸びた太い手すりの端を、腹部より少し上になる位置で埋めるようにして乗り出す。下を見た。真下には土が見えているが、高い。
「三階くらいはある。飛び降りたら確実に怪我をするわね。ど、どうしよ」
その位置から少し離れれば緑の木々で埋まっているというのに、ベランダの端から手の届く範囲に木の枝はない。
木々を越えたずっと向こうには、城壁のようなものが垣間見えた。
抜けるような青い空。はるか遠くに連なる山々が薄ぼんやりと眺められる。
一瞬、それらに吸い込まれるような気がして、まゆこは息を呑んだ。
瞬きにも満たない間、身体を包んだ清涼な空気に溶けてしまいそうな不思議な感覚を味わう。
彼女の部屋の三倍ほどもあるベランダに突入して、滑り易そうな大理石の床を蹴って走る。最奥まで行った。
手すりを乗り越えさらに外へ、というところで足を止める。
左右に伸びた太い手すりの端を、腹部より少し上になる位置で埋めるようにして乗り出す。下を見た。真下には土が見えているが、高い。
「三階くらいはある。飛び降りたら確実に怪我をするわね。ど、どうしよ」
その位置から少し離れれば緑の木々で埋まっているというのに、ベランダの端から手の届く範囲に木の枝はない。
木々を越えたずっと向こうには、城壁のようなものが垣間見えた。
抜けるような青い空。はるか遠くに連なる山々が薄ぼんやりと眺められる。
一瞬、それらに吸い込まれるような気がして、まゆこは息を呑んだ。
瞬きにも満たない間、身体を包んだ清涼な空気に溶けてしまいそうな不思議な感覚を味わう。