不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
ジリアンは静かな口調で繰り返した。
「マユコ・ヒイラギ。マユコ……いい名だ」
名前を口にされたとたん、心臓がどきんっと大きく鼓動を打った。
彼の声は冷淡な感触があっても、真摯さが感じ取れる。
だからだろうか、これほど真正面から受け止めてしまうのは。まっすぐ身体の中に落ちてきた。
――耳から入って体中を駆け巡り腹の奥に留まるような……声。
昔、いまは亡き祖父が『腹の奥には〈丹田〉と呼ばれる〈気〉の集まる場所があるんだよ』と教えてくれた。そこに響くような声だった。
ジリアンがまゆこの名前を口にした途端、強い風が吹く。
彼女のゆるふわの髪が浮き上がった。
ざぁ……っと木々の葉がこすれ合って鋭い音を立てる。緑の葉なのに、風に飛ばされて舞い上がるものもあり、空の青さに映えた。
鳥がいたのか、『ぴー……』っと鳴きながら飛び立ってゆく。
辺りが揺れ動いた――と、そんな感じがした。
「マユコ・ヒイラギ。マユコ……いい名だ」
名前を口にされたとたん、心臓がどきんっと大きく鼓動を打った。
彼の声は冷淡な感触があっても、真摯さが感じ取れる。
だからだろうか、これほど真正面から受け止めてしまうのは。まっすぐ身体の中に落ちてきた。
――耳から入って体中を駆け巡り腹の奥に留まるような……声。
昔、いまは亡き祖父が『腹の奥には〈丹田〉と呼ばれる〈気〉の集まる場所があるんだよ』と教えてくれた。そこに響くような声だった。
ジリアンがまゆこの名前を口にした途端、強い風が吹く。
彼女のゆるふわの髪が浮き上がった。
ざぁ……っと木々の葉がこすれ合って鋭い音を立てる。緑の葉なのに、風に飛ばされて舞い上がるものもあり、空の青さに映えた。
鳥がいたのか、『ぴー……』っと鳴きながら飛び立ってゆく。
辺りが揺れ動いた――と、そんな感じがした。