不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
まゆこの周囲を包む柔らかな光がふわりふわりと漂いながら拡大してゆく。意識が薄れていった。
「マユコっ!」
ブナの幹に当てていた手を、横からジリアンが掴んて放した。
繋がりが切れた途端、彼女の意識が戻ってくる。
「え? あ、あれ? わたし、なにか……」
「おまえは、いま、自分がなにをしたのか分かっているか?」
「なに? なにをしたの? あっ、葉が散っている。紅葉? どうして?」
「どうして……て。マユコ様、私が聞きたいくらいですよ」
すぐ近くにいるルースが周囲を見回しながら言う。
「すぐ部屋へ戻るぞ。誰かに見られてはまずい」
まゆこがジリアンを見上げると、彼は切羽詰まったような目をして彼女を見てくる。追いつめられた顔をしていた。
前にも見た貌だ。彼女が窓から落ちて、駆け寄ってくるとき見せた表情。
なにがなんだか分からなくても、ジリアンに手を引かれて歩き出そうとする。ところが、足に力が入らずによろめいた。
「マユコっ!」
ブナの幹に当てていた手を、横からジリアンが掴んて放した。
繋がりが切れた途端、彼女の意識が戻ってくる。
「え? あ、あれ? わたし、なにか……」
「おまえは、いま、自分がなにをしたのか分かっているか?」
「なに? なにをしたの? あっ、葉が散っている。紅葉? どうして?」
「どうして……て。マユコ様、私が聞きたいくらいですよ」
すぐ近くにいるルースが周囲を見回しながら言う。
「すぐ部屋へ戻るぞ。誰かに見られてはまずい」
まゆこがジリアンを見上げると、彼は切羽詰まったような目をして彼女を見てくる。追いつめられた顔をしていた。
前にも見た貌だ。彼女が窓から落ちて、駆け寄ってくるとき見せた表情。
なにがなんだか分からなくても、ジリアンに手を引かれて歩き出そうとする。ところが、足に力が入らずによろめいた。