不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「トラックが……迫ってきて……」
全体的にあいまいな夢だったが、もっとも怖い部分は覚えている。
ジリアンは不思議そうに訊いた。
「トラック? なんだそれは」
「車。大型じゃなくて、中型の荷物車だった」
「車とは、なんだ」
疑問符を載せたジリアンの声を聞いたまゆこは、ウィズに車はなかったことを思い出す。馬車はあっても、単体で走る〈車〉という概念そのものがなかった。
――ここはウィズで、トラックが迫ることはない。
ようやく落ち着いた。ふぅ……と短く息を吐くと、彼に預けていた上半身を放す。顔を上げてジリアンの端麗な顔を眺めた。
怒っていたと思ったが、少なくともいまは彼女を心配している。
全体的にあいまいな夢だったが、もっとも怖い部分は覚えている。
ジリアンは不思議そうに訊いた。
「トラック? なんだそれは」
「車。大型じゃなくて、中型の荷物車だった」
「車とは、なんだ」
疑問符を載せたジリアンの声を聞いたまゆこは、ウィズに車はなかったことを思い出す。馬車はあっても、単体で走る〈車〉という概念そのものがなかった。
――ここはウィズで、トラックが迫ることはない。
ようやく落ち着いた。ふぅ……と短く息を吐くと、彼に預けていた上半身を放す。顔を上げてジリアンの端麗な顔を眺めた。
怒っていたと思ったが、少なくともいまは彼女を心配している。