不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「……ね、ジリアン。わたしがどういう状況のときにこちらへ引き込まれたか、知っている?」

「躓いて転ぶところだったんだろう?」

 同じ〈とき〉と〈場所〉と〈状況〉に帰るのだと聞いた。もしもトラックが迫る状況へ帰るなら、そのまま事故に逢ってしまうことになる。

 ジリアンがことさら『守る』と言ってくれるのは、状況に問題があるのを知っているからではないだろうか。

 もっとも、彼は車を知らないわけだが。

「……そう、だけど」

「もう眠れ。おまえが眠るまで傍にいてやる」

「いい、いいよ。一人で眠れる」

「眠るのを確認しないと、私の方が眠れなくて困る」

「……分かった」
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