不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
ごそごそと身動いて横になると、彼が布団を被せてくれる。両手で端の方を持って眼元を出した状態でいると、ジリアンはまゆこの手を取った。
眠るまで握っているつもりのようだ。
気恥ずかしいが、この暖かさを振り払うことができない。好きだからできない。
ふと思いついて、小さな声でジリアンに尋ねる。
「〈召喚条件〉があるなら〈帰還条件〉とかはないの?」
言ってから、〈召喚条件〉も聞きたいことの一つだったと思い出す。
毎日が興味深いことの連続なうえ、帰れば元通りと聞いていたから後回しにできた。気持ちが揺れ動くのもあって、それどころではなかったというのもある。
彼女の眠りを妨げないようにと、ジリアンは小さな声でゆっくり答えた。
「おまえは、おまえ自身を持ってゆくだけだ。服などはそのときのものになる。条件として必要になるのは〈状況〉だな。いつでも、どこからでも、〈状況〉が一致すれば、魔法の発動条件はそろう。……条件だけだが。実際の魔法の発動はまた別だ」
薄明りの中でもこれほど近いと彼の顔はよく見えていた。とても真剣なまなざしでまゆこを見ている。
眠るまで握っているつもりのようだ。
気恥ずかしいが、この暖かさを振り払うことができない。好きだからできない。
ふと思いついて、小さな声でジリアンに尋ねる。
「〈召喚条件〉があるなら〈帰還条件〉とかはないの?」
言ってから、〈召喚条件〉も聞きたいことの一つだったと思い出す。
毎日が興味深いことの連続なうえ、帰れば元通りと聞いていたから後回しにできた。気持ちが揺れ動くのもあって、それどころではなかったというのもある。
彼女の眠りを妨げないようにと、ジリアンは小さな声でゆっくり答えた。
「おまえは、おまえ自身を持ってゆくだけだ。服などはそのときのものになる。条件として必要になるのは〈状況〉だな。いつでも、どこからでも、〈状況〉が一致すれば、魔法の発動条件はそろう。……条件だけだが。実際の魔法の発動はまた別だ」
薄明りの中でもこれほど近いと彼の顔はよく見えていた。とても真剣なまなざしでまゆこを見ている。