不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
数々の集まりのほとんどが国王の主催だったが、体調不良のために出席は見送られている。
そのため、集まりの主役は常に三家の当主あるいは嫡男になった。そこにフォンダンのカーライルとジリアンの婚約者のまゆこが入っているといった状態だ。
婚約者という立場によって、誰もが遠巻きになってくれるのでずいぶん助かっている。ジリアンの判断は正しかった。
ところが、会話にダンスにと、どうにかこうにかこなしているというのに、圧倒的存在感で彼女に迫ってくる者がいる。ヴォーデモンのゲオルグだ。
「マユコ、そう避けるな。この酒はどうだ? 美味いぞ」
彼の周囲には常に女性が集まっている。それなのに、まゆこが広間に現れるとすぐに全ての女性たちを振り切って近づいてきては、気さくに話しかけてきた。
給仕の盆から取った飲み物やお菓子を進めてこられると、つい〈餌付〉という言葉が頭に浮かぶ。
背丈もあってがっしりとしたゲオルグから見れば、彼女はいかにも小動物だ。
「申し訳ありませんが、ゲオルグ様、お酒はあまり飲めません」
「〈様〉はいらないと言っているだろう? ジリアンは呼び捨てじゃないか。同じようにして構わん」
そのため、集まりの主役は常に三家の当主あるいは嫡男になった。そこにフォンダンのカーライルとジリアンの婚約者のまゆこが入っているといった状態だ。
婚約者という立場によって、誰もが遠巻きになってくれるのでずいぶん助かっている。ジリアンの判断は正しかった。
ところが、会話にダンスにと、どうにかこうにかこなしているというのに、圧倒的存在感で彼女に迫ってくる者がいる。ヴォーデモンのゲオルグだ。
「マユコ、そう避けるな。この酒はどうだ? 美味いぞ」
彼の周囲には常に女性が集まっている。それなのに、まゆこが広間に現れるとすぐに全ての女性たちを振り切って近づいてきては、気さくに話しかけてきた。
給仕の盆から取った飲み物やお菓子を進めてこられると、つい〈餌付〉という言葉が頭に浮かぶ。
背丈もあってがっしりとしたゲオルグから見れば、彼女はいかにも小動物だ。
「申し訳ありませんが、ゲオルグ様、お酒はあまり飲めません」
「〈様〉はいらないと言っているだろう? ジリアンは呼び捨てじゃないか。同じようにして構わん」