不本意ですが、異世界で救世主はじめました。

　まゆこの返事に、周囲から『うお』とか『生意気』とか声が漏れる。ゲオルグを取り巻く女性たちにとって、まゆこの態度は許せないのだろう。

　当のゲオルグは、まったくめげずに笑うだけだ。

　しかも、楽しんでいるのを隠さない。

　そこへカーライルが加わると、混沌とした一団の出来上がりだ。

「楽しそうね、ゲオルグ。こんにちは、ジリアン。相変わらず麗しいわね。こんにちは、マユコ。元気そうね、ゲオルグにそういう態度を取るのはあなたくらいよ」

「男に麗しいなどと言うな。マユコは私の婚約者なんだ。ゲオルグの誘いなど叩き落して当然だろうが」

　ジリアンはにべもない。

　まゆこは軽く頭を下げて、失敗しないようにと心掛けながら挨拶をする。

「こんにちは。カーライル様」

　ぶはっと吹いたゲオルグが軽く言う。

「カーライルは『カーラ』で構わないぞ。こいつはマユコと〈トモダチ〉になりたいそうだからな」

〈友達〉を強調して笑う。ゲオルグもカーライルの二面性を知っているのだろう。

「そうよ。カーラと呼んでちょうだいね。マユコ」