不本意ですが、異世界で救世主はじめました。

　限りなく友好的な笑みを浮かべた美女は、取り巻きも多く引きつれていた。

　取り巻きたちは、ジリアンの方を見て憧れの人に対するため息を吐き、まゆこの方を向いて陰口を叩く。

　カーライルはたおやかで優しげな態度を取りながらも、まゆこに対しては言いたいことを言う。

「ジリアン、婚約解消はいつなの？　まさかこのままということにはならないでしょう？　バーンベルグ家に相応しい花嫁は他にいるのですもの」

　しおらしい態度や美しい姿に騙されそうだが、まゆこに対する敵意は丸出しだ。

　ジリアンはそういうカーライルに微塵も動かされない。

「婚約解消はない。私の相手はマユコだけだ。――永遠に」

　周囲は、『わぁ』だの『うそよー』だの、声まで上がって大いに沸いた。

　騒然としているから、彼に小声で言っても誰も聞こえないはず。