不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 足先側の壁はかなり遠くに見えた。広い部屋だ。

 そちらの壁に、凝った造りの調度品が置かれ、並びに両開きの大扉が埋め込まれている。廊下へ出る扉だと予想した。

 ベッドから見て窓と反対側の壁には、小ぶりな木のドアが二つある。

「……誰もいないみたいね」

 まゆこはゆっくり起き上がった。

 下着を身に着けていない。シュルシュルと滑る亜麻色の布地が身体を覆っていた。布は多くても肩先や腕はむき出しだから、上掛けから出ると肌寒い。

「……ネグリジェとか? レースとフリルがいっぱい。なんだか恥ずかしいわね。ブラジャーは? パンティは? ……だれが脱がせて、だれが着せたの」

 頬が引きつりそうだったが、現状は現状だと受け入れるしかない。


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