不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 中に入ろうとすれば、女の子もついて来ようとする。

「一人でいいわ。えーっと、一人にしてください」

「ですが、お傍を離れないようにと言いつかっております」

「どんなときにも?」

「いいえ。マユコ様が下がるよう言われない限りです。ご指示をいただければそのように致します」

「ベッドの横で待っていてください。一人で、できますから」

「はい。かしこまりました」

 侍女は、彼女の言葉を素直に聞いてベッド横に立つ。まゆこは、水周りがそろった部屋の中に入ると、急いでドアを閉めた。

 水周り用としては広い。入ったのとは別のドアもあり、開いてみれば、そちらはお風呂になっていた。大きなバスタブと金の蛇口が目に映える。

そのドアは閉めて、最初の目的通りに用を足した。

 なかなか大きな窓があるうえ、昼間なので明るい。それに加えて、ドアを開けた時点で明かりが点いた。

 人がいるのをどうやって感知しているのか、内側からドアを閉めても消えない。

 電気が通っているのかと驚き半分でぐるぐると歩き回れば、壁に掛けてあるタペストリーが目に留まる。

 凝った柄の中心に魔法陣が組み込まれていた。

「魔法が電気の替わりってことか。生活の中に浸透しているのね」
< 27 / 360 >

この作品をシェア

pagetop