不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「週末まで、まだ三日もあるよね。飲みに行きたーい」
守秘義務があるから、友人相手でも研究内容は言えない。それでも、喋るだけ喋って昔話に花を咲かせれば、気分転換になってきっとまた頑張れる。
電車を降りたあとは家まで徒歩で十分ほどだ。
彼女は瞬きを速くして、涙を堪えながら住宅街の通りを歩く。
「まだ半年じゃないの。これからなんだって」
呟きも小さくなって口の中で消える。
気晴らしがほしかった。気持ちがなかなか上昇しない。
気落ちしたまゆこの肩はずいぶん落ちていて、トートバックが滑り落ちてゆく。
それに気を取られたとたん、躓いた。
「あ……っ」
身体を立て直そうとしたが、歩道が終わってわずかな段差となった。傾きながらも、たた……っと二・三歩前に出て踏ん張ったが、傾いだ身体は持ち直さない。
バッグが地面に落ちた。スーツの上に着ていたクリーム色のコートが翻る。
守秘義務があるから、友人相手でも研究内容は言えない。それでも、喋るだけ喋って昔話に花を咲かせれば、気分転換になってきっとまた頑張れる。
電車を降りたあとは家まで徒歩で十分ほどだ。
彼女は瞬きを速くして、涙を堪えながら住宅街の通りを歩く。
「まだ半年じゃないの。これからなんだって」
呟きも小さくなって口の中で消える。
気晴らしがほしかった。気持ちがなかなか上昇しない。
気落ちしたまゆこの肩はずいぶん落ちていて、トートバックが滑り落ちてゆく。
それに気を取られたとたん、躓いた。
「あ……っ」
身体を立て直そうとしたが、歩道が終わってわずかな段差となった。傾きながらも、たた……っと二・三歩前に出て踏ん張ったが、傾いだ身体は持ち直さない。
バッグが地面に落ちた。スーツの上に着ていたクリーム色のコートが翻る。