不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
テーブルの上から彼女の手が浮く。その一方をジリアンが素早く掴んだ。まゆこは上半身を捩らせて彼を見る。
「放してっ!」
「言い方が悪かった。すまない。そんな意味では……」
まゆこは、握られたのとは別の手を浮かせて反射的に振り回す。
放してほしかっただけだったのに、テーブルの上に乗りだしていたジリアンの片頬を打ってしまった。パシンっという打音と共に掌に軽い衝撃が走る。
驚いて手を引いた。ジリアンも驚いた顔をした。はっきり分かるほどだから、よほどの驚愕だったのだろう。
とにかく、何もかもが一度に起こった感じで、パニックに陥ってしまう。
離れたいという意志を載せて足が動いたが、ドレスの裾を思い切り踏んでしまった。身体が傾ぐ。あっという間だ。
すぐ隣には開いていた窓があり、彼女はそれに体ごとぶつかる。窓は音もなく大きく開いた。まゆこの身体が窓枠から外へ出る。
「放してっ!」
「言い方が悪かった。すまない。そんな意味では……」
まゆこは、握られたのとは別の手を浮かせて反射的に振り回す。
放してほしかっただけだったのに、テーブルの上に乗りだしていたジリアンの片頬を打ってしまった。パシンっという打音と共に掌に軽い衝撃が走る。
驚いて手を引いた。ジリアンも驚いた顔をした。はっきり分かるほどだから、よほどの驚愕だったのだろう。
とにかく、何もかもが一度に起こった感じで、パニックに陥ってしまう。
離れたいという意志を載せて足が動いたが、ドレスの裾を思い切り踏んでしまった。身体が傾ぐ。あっという間だ。
すぐ隣には開いていた窓があり、彼女はそれに体ごとぶつかる。窓は音もなく大きく開いた。まゆこの身体が窓枠から外へ出る。