不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「照れている……?」
思わず言葉が漏れる。まゆこの独り言の癖はどこでも平常運転らしい。
ジリアンがぱっと見てきたので、まゆこは背を引いた。〈晩餐の間〉の素晴らしく古風で立派な椅子の背に留められて、それ以上は下がれない。
「あ、あの。独り言の癖があるの。からかったわけじゃなくて、ジリアンがわたしのことを気に掛けてくれるのが嬉しくて、見たままを言ってしまったわ。ごめんなさい。気を付ける」
「いや。いい。私はいままで魔法の勉強ばかりをしてきたから、女性の扱いは上手くない……、というか下手だ。なんでも言ってくれる方がありがたい」
「え? ジリアンはすごくもてそうなのに」
「事情があって、いままでは女性のことを煩わしいとしか思えなかった。――マユコは違うぞ。おまえは走るし。追いかけるのはものすごく楽しかった」
「……こちらの女性は走らないのね」
「ドレスだからかな。マユコもドレス姿ではもう走れないだろう?」
「裾を両手で持ち上げれば走れるわ。いざというときには、そうするつもり」
「それは――見てみたい。今度こそ捕まえてみせる」
ベランダのときも、もう少し長く走っていたら彼に捕まったと思う。
――捕まえる……か。意味深だよね。女性の扱いが下手だなんてとても思えない。
思わず言葉が漏れる。まゆこの独り言の癖はどこでも平常運転らしい。
ジリアンがぱっと見てきたので、まゆこは背を引いた。〈晩餐の間〉の素晴らしく古風で立派な椅子の背に留められて、それ以上は下がれない。
「あ、あの。独り言の癖があるの。からかったわけじゃなくて、ジリアンがわたしのことを気に掛けてくれるのが嬉しくて、見たままを言ってしまったわ。ごめんなさい。気を付ける」
「いや。いい。私はいままで魔法の勉強ばかりをしてきたから、女性の扱いは上手くない……、というか下手だ。なんでも言ってくれる方がありがたい」
「え? ジリアンはすごくもてそうなのに」
「事情があって、いままでは女性のことを煩わしいとしか思えなかった。――マユコは違うぞ。おまえは走るし。追いかけるのはものすごく楽しかった」
「……こちらの女性は走らないのね」
「ドレスだからかな。マユコもドレス姿ではもう走れないだろう?」
「裾を両手で持ち上げれば走れるわ。いざというときには、そうするつもり」
「それは――見てみたい。今度こそ捕まえてみせる」
ベランダのときも、もう少し長く走っていたら彼に捕まったと思う。
――捕まえる……か。意味深だよね。女性の扱いが下手だなんてとても思えない。