不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
【第一章 はじめまして】
 まゆこが落ちていった奇妙な空間には、空気の流れがあった。コートの裾がはためき、肩先よりも長い髪が後ろへ流れる。

 転んだ拍子に頭を打って夢を見ている……とか? ……う、寒い……。

 肌の感触もある。頬に空気の冷たさを感じた。夢ではないのか?

 その空間にいたのは、長かったのか短かったのか。限りなく一瞬に近かったかもしれない。

 下降していたはずが、なぜか下から浮き上がるようにして明るい場所に出た。

 直立姿勢のまま少し上がってまっすぐ下りる。
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