不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 彼女を見ている彼と目が合った。強い視線だと思う。いつも思うのだ。まるで貫かれるようなまなざしだと。

「おまえは私が必ず守る。約束しただろう? 安全な方法を見つけて帰すと」

「そうだった。――よろしく、公爵様」

 おどけた感じで言えば、ジリアンは静かな笑みを返してくれる。

 その笑みが見たくてこうしているのかもしれない。

 お茶の時間もたまに一緒に過ごしていたが、日が過ぎるにつれその機会は減っていった。少々さびしい。

 朝食とランチを混ぜたような食事となる午餐は、時間が一定しないせいか、ほとんど一人で食べている。
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