不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 二週間を数えたその日も一人で午餐を取った。

 食べ終わって廊下を歩いているとき、窓の外の日差しがやたら明るく感じた。今日も天気がいい。

 いままでは城内探索をしていた時間だったが、まゆこは外へ出たくなった。

 振り返るといつもの位置にエルマ・ツインという侍女がぴたりとついている。

 彼女のために手配された侍女たちの中で、もっとも長く傍にいる者だ。

「外へ散歩に行きたいんだけど。食事のあとはいつも城内を探索していたでしょう。今日からは外へも出たい。ジリアンに確かめなくてはいけないかしら」

 侍女見習いだというエルマは、よく通る声で答えてくれる。

「ジリアン様には、すでに確かめてあります。屋外へ出られる許可はもういただいておりますよ。城の外壁までという条件がついていますが」

「相変わらずエルマは手回しがいいんだ」

「それくらいしかまともにできませんので」

 大柄なのに、背を丸めて恐縮する様子が微笑ましい。

 エルマは、まゆこが窓から落ちた次の日に、侍女頭が連れてきた。年のころは自分と同じくらいだと思っていたら二才上だそうだ。二十五歳になる。

侍女頭は、『侍女見習いの女の子たちは十代前半が普通です』と話していた。

 エルマには、城勤めをしなければならないなにか事情があるのかもしれない。

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