誰からも愛されない
少しすると
バタバタっ・・・
廊下を走る音が
ガッシャーン
病室に入って来たのは
彩心の父親の涼だった。
「皐さん、どう言うことだ!!」
「才賀さん、すみません。
私が部屋に行ったときは、
彩心は、眠っていたんです。
ですが、様子がおかしく
ここに運びました。」
「・・娘はっ・・彩心はっ・・
自殺を‥‥心みたっ‥‥
‥なんてっ‥‥ことっ‥‥」
「才賀さんですか?
私は、四井銀行で彩心の上司を
しています。大野と申します。
皐先生は、いつも彩心に寄り添い
真の親よりも彩心に愛情を
注いでいらっしゃいます。」
「紫月さん!!」と、皐。
「嫌、いいんだ。
大野さんですかね。
彼女の言われる通りです。
私から妻を奪ったこの子が
憎くて、どうしても
育てる事ができなかった。
そんな娘を
皐さんに丸投げしておいて
今さらですよね。」
と、涼。
「彩心が、奪ったんじゃない。
この子が、その事で
どれだけ苦しみ
どれだけ涙を流したか
おわかりになりますか?
子供は、親を選んで
産まれてくるわけではありません。
罪もない赤ちゃんだった
この子に酷すぎます。」
と、皐は涼に訴えた。
紫月は、そばで涙を流していた。