誰からも愛されない

皐も紫月も涼にわかってほしかった。
辛かったのは、涼だけでない事を。

涼も頭の中では理解していた。

だが、彩心をみると
いたたまれない気持ちになってしまう

そんな中で皐は、
今の彩心の状況と
今からの事を涼に話した。

成人を過ぎていても
涼は、彩心の父親だ。
話さない訳にはいかなかった。

涼の手は震え
拳を固く固く握りしめた
憤りに堪えるように

紫月は、
「彩心のお父さん
わかりますか?
彩心の気持ちが・・・
私は・・やはり‥‥
誰からも・・愛されることはないんだ・・
肉親である父親からも・・
最愛の夫である彼からも・・・
彼女は、そう思っているはずです。」

涼は、紫月のひと言、ひと言が
身にしみた。

俺は‥‥いったい‥‥‥

そこに
ガラガラッ
「母さん!!彩心は?」
と、新が入ってきた。

涼は、いきなり
新を殴り飛ばした。

「いってぇ!!」
と、殴った相手をみて
新は、びっくりした顔をした。
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