誰からも愛されない

✛✛謙虚


半年を過ぎ
札幌の生活にも少しずつ慣れて来た。
仕事もなんとか落ち着いてきた。

支店の方も、突然来た私に
優しくしてくれた。
中には、好奇な目を向ける人もいたが
それは、それで仕方ない
と、思いながら
お花のアレンジを習ったり
家庭菜園を教えてもらったり
して充実した日々を送っていた。

紫月さんや皐さんとも
きちんと連絡は取っている。

いつも私の事を心配してくれる
二人には、本当に感謝しかない。


ただ近頃・・少し困っていることがある。
それは·····
銀行に見えるお客様で
「息子さんを紹介したい。」
と、言われて。

そのお客様は、
めったに一人で出歩かないみたいだが
外にでたついでに青山支店長に
会いに銀行に立ち寄られたということ
だったが
青山支店長が接客中だったので
「キャッシュカードを使用した事が
ないから、教えて欲しい」
と、言われて対応したのが
私だった。

普通にお話ししただけなのに
なぜか、喜んで頂いた
その上、
「才賀さんは、なぜ
そんな悲しい目をしておる」
と、言われて
「えっ!」
と、話していると青山支店長が見えて
「秋山様、申し訳ありません。」
「おおっ、青山君。構わんよ。
才賀さんに習っておった。」
「キャッシュカードなど使わなくても。
だが、才賀さんありがとう。
秋山様は、大事な私のお客様で。
少し難しい方なのですが、
才賀さんの事は
気に入られたようですね。」
と、言われて
「いいえ。私はキャッシュカードの
使用方法をお伝えしただけですので。」
と、言うから
秋山も青山も目を細めていた。

謙虚で、優しい対応してくれているのを
本人は、普通にこなしている
それがまた、良い。
と、秋山も青山も思っていた。

それから、秋山の息子や孫の
紹介が始まった。
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