誰からも愛されない
✛✛発作
秋山は、彩心を追うと・・
彩心は、お寺の境内にある椅子に
腰かけていた。
「大丈夫か?」
「・・はい。あの人は、私の父です。」
「ああ。お前は才賀先生の
娘さんだったんだな。」
「父を知っていたのですね。」
「ああ、俺が尊敬する弁護士だ。」
「そうですか?」
と、言った彩心の目は、
もう俺を見ていなかった。
それが、なぜか心に引っ掛かった。
それから、彼女はホテルに帰るまで
会話をしなかった。
俺は気になったが、
どうしてよいかもわからず
ホテルの部屋に入ると才賀先生に連絡して
会う約束を取り付けた。
彩心は、一人になってから皐に連絡した。
「彩心、お墓参りどうだった?」
「・・・さつき・・さんっ・・」
「彩心?おいで。いますぐ」
彩心は、皐の言葉に頷いて
直ぐに用意して皐の家に向かった。
家の前で皐さんは、待っていてくれて
彩心を抱き締めた。
「‥‥父がっ、父がいたんです。」
「涼さんも、行ってたんだね
さぁ、中に入ろう。」
皐は、彩心が落ちつくまで待ってから
簡単な食べ物とアルコールを用意した。
彩心は、父親に何かをされた訳ではない
何もされない、存在事態をないものと
された。
だから、彩心は、父親がそばにいると
こう言う状態になる
一種の発作のように・・・・
少しすると落ちついてくる。
落ちついた彩心を見て
皐は、涼(彩心の父)が
彩心と新の離婚のとき
「彩心のために一緒懸命だったのよ。」
と、話した。
「沢山の証拠や証言を集めて
新を凝らしめたの。
二度とこんなことをしないように
今から生まれてくる子供のためにも。
それから、彩心の今後のために
必要な金額と彩心を何年も傷つけた
金額を請求したの
全てが終わったとき
涼さんは、新をなぐり倒したの。
自分が苦しめただけでも
辛い思いをさせたのに・・
と、言ってね」
と、皐さんは話してくれたが
皐さんにとって
新は、大切な息子さんだ。
新も私に関わらなかったら
皐さんとも仲良く暮らしていたかも
知れないのに。
やはり、私は・・・
「はいはい。彩心さん?!
勝手に考え込まないでね。
新とは、
遅かれ早かれこうなっていたと思うの。
私はね、産まれてくる子供の
ためにもちゃんとした親になって欲しい、と。
彩心に辛い想いをさせたんだから
涼さんのやった事は、
正しいと思っている。
何回も言うけど、あなたも
私の大切な娘なの。
あなたがいくつから
一緒にいると思っているの」
と、言われて
皐をみると・・・
とても優しい表情で
私を見てくれていた。
そうだ。
いつも皐さんは、そうだった。
思わず皐さんに抱きつくと
皐さんは、抱き締め返してくれて
私が落ちつくまで背中を撫でて
くれていた。
私は、そのまま眠ってしまった。