誰からも愛されない
✛✛辛い過去
「彩心・・彩心ちゃん!!」
考え込む私に、忍さんが私の名前を呼ぶ
はっと、思い顔を上げると
「君に辛い過去があるのだね。
でも、自分自身を追い込まないで
僕は、興味本位で君に近づいたり
していないし、しないよ。
それは、わかってくれてるよね。」
と、優しく語りかけてくる忍さん。
私は、コクン、コクンと頷いて
「ごめんなさい。嫌な言い方をして。」
「問題ないよ。
彩心ちゃんが苦しそうに話すから、
本気で言ってるとは
思っていないから。
でも、悪いけど僕は凄く我慢して
惹かれていると表現しているけど
抱き締めて、誰にも見せないように
僕の中に閉じ込めて
彩心ちゃんの瞳に僕以外が
映らないようにしたいくらい
君を、彩心ちゃんを愛しているよ。
引くだろ?びっくりしただろ?」
と、頭を抱えて頭を垂れる忍さん。
その姿とその言葉に
びっくりすると共に
心の中が温かくなり
涙が溢れてしまった。
そんな彩心を忍は抱き締めて
「大丈夫、大丈夫。
僕は、ずっとそばにいるよ。」
と、何度も、何度も背中を擦りながら
告げてくれる忍さんに
父の事、新の事を
泣きながら訴えた。
聞き取りにくいだろうに
忍さんは、黙って聞いてくれて
時おり声をかけてくれたりした。
全てを話し終えた時
「‥‥ごめんっ‥‥さいっ‥‥」
と、言うと
「こちらこそ、話してくれて
ありがとう。
辛いことを話させてしまい
すまない。」
と、言う忍さんに
私は、頭をふって答えた。