誰からも愛されない

✛✛異動


私‥‥

如月 彩心(きさらぎ あこ)27歳

大学を出て大手銀行の四井銀行勤務

・・・だが・・・

本日····
才賀 彩心(さいが あこ)に戻った。

銀行には、転勤の希望をだし
ここから遠い県に決まった。

このことは、義理の母である
皐さんと相談して決めた。

新の母である皐さんにとって
つらいはずなのに
皐さんは、
「彩心が気にすることないよ。
バカ息子がいけないんだから。
ごめんね。
ずっと彩心とは親子でいたかった。
幸せにしてあげたいと
思っていたのに。
本当に・・・・情けない。」
と、言う皐さんに
私は、首を振りながら
「皐さんは、私にとって
いつまでも大切なお母さんだから。
そう思ってて良い?」
「当たり前よ。
新しい所についたら
必ず連絡するんだよ。
新には、絶対に教えないから。」
「うふふっ、はい。
だけど、新は私の事なんか
気にしませんよ。」
と、言うと
皐さんは、悲しげな顔をした。

銀行では、昨日異動の発表があった。

異動は社外秘なので
新が、訊ねてきても
知られることはない。

まあ、新が私のことを
気にすることはないと
思うが······

紫月さんこと
大野 紫月(おおの しづき)さん
30歳・係長。
優しくてやり手の女性管理職者
なぜか、私と気があって
よく面倒見てくれる。

今回の異動も紫月さんが動いて
くれた。
紫月さんの元上司の方が
私を引き取ってくれたのだ。

「良い?彩心
向こうについたら
必ず連絡しなさいよ。
わかった。」
「はい、ありがとうございます。
紫月さん、ずっと心配ばかり
かけてすみません。」
「何いってるの。
彩心は、私の大切な友人なんだから。」
と、言ってもらえて
私は、涙を拭きながら頷いた。
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