誰からも愛されない
✛✛秋山も落ちたもの
彩心は、お手洗いへ
手を洗っていると
ドアが開き、清香さんが入ってきた。
「すみません。直ぐに出ます。」
と、彩心が言うと
「いい気なもんね。おじいさまに
少しばかり気に入られてるかと思って。
あなたみたいなバツイチ女が
秋山家に入るなんて。
秋山も落ちたものよね。」
と、言い捨てると洗面所から出て行った。
彩心は、その場を動けなかった。
わかってる。わかってるそんなこと
バツイチの私が忍さんと結婚なんて
でも、忍さんが好き
忍さんと一緒にいたい。
なんとか、涙を我慢して
洗面所をでると、楓さんがいて
びっくりすると
「大丈夫?」と、言われて
「······はい。」と、言った。
楓さんは、なにも言わなかったから
私も言わなかった。
リビングに戻るとみなさんは
ダイニングに移っていて
テーブルに料理が並べられていた。
忍さんから、
「彩心、どうした?」
「ん?どうして?何もないよ。」
「なんかあるなら、言って。」
「うふふっ、大丈夫だよ。」
「なら、いいけど。」
と、話す二人を楓は、黙ってみていた。