誰からも愛されない

✛✛ついて行きます


彩心は、何かに触られているような感触に
目を覚ました。
あっ、忍さんの病室にいたんだ。

はっ、と頭をあげると
横を向いてる忍と目があった。

目があった瞬間
彩心の目から
ポロポロ······ポロポロ·····と涙が溢れた。
忍が
「来て·····くれたの?」
と、訊ねると
コクン·····コクンと頷いた。

「ごめんね、心配かけて。
もう、大丈夫だから、
彩心は、帰りな。」
と、言う忍。

忍は、彩心にこれ以上
辛い思いをさせたくないし
これ以上いたら、離せなくなると思い、
伝えると
彩心は、首を何度も横に振る
「だけど、彩心···?!···」
と、言うと
「私は・・・・
秋山家の迷惑・・にならない?
忍さんの・・・・
足でまといに・・・ならない?」
と、彩心が言うと
「なるわけないだろ。
彩心は僕が、ただ一人の愛する人で
僕の大切な、大事な人なんだよ。
それに······
はぁ‥‥‥っと
僕は、彩心がいないと
なにも出来ない・・
へたれだとわかった。
マンションに帰ることも
寝る事も出来ないんだ。」
と、言うと
「えっ、うふふっ、
忍さんがへたれですか?
それなら、私も同じです。
忍さんがいないと、
うまく息もできないくらい‥‥‥

忍さんが····好き······
‥‥‥大好きなんです。‥‥‥」
と、言う彩心の手を忍は握りしめ

腕には点滴がされていて
動かないために
「ああっ、点滴が邪魔で
彩心を抱き締められない。」
と、騒ぎながら
「僕も彩心を愛してるよ。
もう離さない。
絶対に離さない!!
良いね!
彩心の“嫌だ”も、きかないからね。」
と、言うから
彩心は、
「はい。もう離さないで。
私も離れません。」
と、言って
忍の唇にチュッとした。

忍は、びっくりして
目をくるくるさせていると・・
彩心は、クスッと笑っていた。

忍は、もう一方の手で
彩心の後頭部を押さえて
深いキスをした。

長いキスに、唇が開く彩心
忍は、彩心の舌に自分のを絡めて
吸いあげる
「うっ‥‥フゥン‥‥‥」
唇が離れると
忍の瞳から涙が流れた。

「はっ、忍さん?」
「‥‥ごめんっ、本当にっ
もう‥‥‥失った‥‥と‥‥
思って‥‥いたん‥‥‥だ‥‥‥」
と、言われて
彩心は、思わず
忍の首に抱きつき
「ごめんね。もう絶対離れない。」
と、忍に告げた。

そんな彩心を
忍は、片手でぐっと抱き締めた。

少し話をして忍には
休んでもらった。

忍は不安がるが
「絶対に黙って帰らないし
  ずっといるから安心して。」
と、言った。

忍の寝息が聞こえてきたから
そっと廊下にでると
楓さんがいてくれて
「おじいちゃんは、安心して帰りました。

彩心さん、本当に清香がすみませんでした。
許されることではありませんが
忍さんは、本当にあなただけを
愛しています。
どうぞ、宜しくお願いします。」
と、言ってくれた。
「楓さん、ありがとうございます。

私が、弱いだけなんです。
清香さんのことは、恨んだりしてません。
私は、秋山 忍が好きなんです。
Akiymaの社長を好きになったのでは
ありません。
だから、私は忍さんについていきます。
これから先、ずっと。」
「はい。宜しくお願いします。」
「楓さんも忍さんにつきっきり
だったのでしょう。
ゆっくり休んで下さい。
秋山さんと奥様には、
明日ご連絡します。」
と、言うと
楓は、安心して帰って行った。

病室に戻ると
忍が目を開けていて
「格好いい言葉、ありがとう。」
と、言うから
もぅ‥‥と、
真っ赤になる、彩心だった。
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