天雨

タイトル未編集

傘をさしながら、千尋は狭い路地を歩いていた。

長くて真っ直ぐな黒い髪も雨のせいでうねりがひどい


今日もさんざんだった。


学校からの帰り道を歩きながら、

千尋は日課となっている
「これでわかる！自殺の方法！！」
といういかにもあやしげなサイトの記事を熟読していた。



と、後方から車がはしってくる。


千尋は避けようとするもの、
車のあげた水しぶきがかかる


「あーああ……」

見事に身体の左半分は濡れてしまい、このあたりでかわいいと評判の高校の制服、
さらにはくつしたまでびちょびちょである。


せっかくクリーニングにだした制服が水を含み、身体にはりつく



やっぱり、雨は嫌いだ。









ことの始まりは単純なことだった。

同じクラスの奈那美というリーダー格の女子に目をつけられたのだ。

奈那美はこれまた同じクラスの健太のことが好きだったのだが、

健太は千尋のことが好きだと公言したらしいのだ。


その場にいたのは数人の男子だけであったが、

このような話はすぐに広まり
あっという間に奈那美の耳にとどいてしまった。

それが5月中旬のこと



それから約1カ月、奈那美をとりまくグループからの執拗な嫌がらせが続いているのである。



千尋にとって
健太が引き起こしたこの一連の騒動は迷惑以外の何物でもなかった。




そもそも、千尋には好きな人がいたのである