朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


いつも通り――スーツ姿の在義さんが、朝間先生の後ろに立った。


その姿を見止めて朝間先生は、ほっと息を吐いていた。


「な、なんでこんなことしたのですか!」


「このくらいしないと箏子先生が咲桜のこと、嫌いまくってると誤解されたまま嫁に行くことになりそうでしたから。箏子先生が、私がいない隙に咲桜を呼び出したと、夜々ちゃんから連絡を受けた流夜くんから聞きまして。流夜くんに一計案じてもらったんです」


「謀った程度ですけどね。在義さんがここまですぐに帰れないということで、降渡に在義さん役をやってもらいました。変装を完璧にしなかったのも、勿論理由はありますよ」


「理由?」
 

咲桜が首を傾げる。


「そう。身長と服装。朝間先生はすぐに気づいてましたよね? 本物の在義さんじゃないって」


「え、ええ……」
 

朝間先生が肯く。

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