朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「あ、母さん――」


「夜々子。お前の役目が多くなりました」


「え?」


「……学校で、何があっても問題にさせてはいけませんよ。………咲桜のために」
 

小さく言って、箏子さんは在義さんの隣をすり抜けて出て行ってしまった。
 

咲桜と朝間先生はぽかんとした顔でその背を見送る。
 

扉は閉まり、外の光が消える。口を開いたのは降渡だった。


「あー、疲れたー」


「悪かったな。急に」


「いや、それはいんだけどな? 在義さんに化けろってムリ多すぎだし」


「いや、降渡くんの腕もあがったよねえ」


「お褒めにあずかり光栄です。じゃ、次の仕事あるから行くわ」


「ああ」


「それから咲桜ちゃん。絆がりゅうの落としどころ狙ってるから、話すときは気を付けてねー」


「えっ、あ、はいっ」
 

咲桜の硬直が融けて、反射的に返事した。


降渡はにこやかに出て行く。

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