朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「……すっっっっごく! 複雑だけど……」
朝間先生が、キッと俺を睨んだ。
「ばれないように、今一層心掛けてくださいね」
「朝間先生の協力もいただけるんですね?」
「私が護るのは咲桜ちゃんだけです。神宮さんは知りません」
ふいっとそっぽを向いて見せた朝間先生だが、ちらっと横目に咲桜を見る。
「? 夜々さん?」
俺と朝間先生の言い争いはもう挨拶みたいなものであるから、咲桜は動じなかった。
「……よかったわね、咲桜ちゃん」
朝の陽ざしのように微笑まれて、咲桜の口元が歪んだ。
「~~~夜々さん~~」
咲桜が朝間先生に抱き付くと、優しく抱き留められる。
「うん。よおくがんばったわね」
「夜々さんありがと~。母さんにも教えてあげたい~」
箏子さんに、嫌われてはいなかったのだと。
涙声の咲桜を、自分より背の高い咲桜の頭を、朝間先生は撫でる。