朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「そうね。……桃ちゃんなら、咲桜ちゃんが聞いたことで、わかったと思うわ」


「だと嬉しい~」
 

朝間先生は少し腕を離して、咲桜の顔を覗き込んだ。


咲桜の顔が涙でぐしゃぐしゃだ。


「うん。桃ちゃんに似た美人さん。もっと綺麗になるわね。ね、在義兄さん」


「そうだねえ。……でも性格が、桃より夜々ちゃんに似てる気がするのはなんでかなあ」


「気の迷いです。あ、違った。気のせいです」
 

朝間先生の訂正。咲桜、朝間先生の影響受けすぎだろう……。


「流夜くん」


「―――はい」
 在

義さんに呼ばれて、静かに返した。


「何を言われるか、わかっているかな」


「………はい」
 

すぐ傍では咲桜と朝間先生が泣き笑いで楽しそうにしている。


俺だけ極寒の中だった。


「ありがとう。流夜くんのおかげだ」


「すみませ――……は?」


「ん? 私に二度言えと?」

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