朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「いえ、そのようなことは……でも、あの、急に連絡したことを怒っておられるのかと」
「うん? 流夜くんにしては察しの悪い言い方だねえ」
「すみません」
「これ以上私が譲歩するわけがないだろう。聞こえた言葉で解釈しなさい。ああ、それから――」
在義さん、相変わらずの鉄壁だった。
囁かれた言葉に、俺は頭を下げることで応えた。
「咲桜、夜々ちゃん。私は仕事に戻るよ。夜々ちゃんも、帰るの遅くならないように」
「はーい」
朝間先生は嬉しそうに咲桜を抱きしめて見送った。
……若干腹が立った。
咲桜が「顔洗ってきます~」と顔をぐずつかせたので、俺と朝間先生もリビングに入った。
「……本当に、辞める気だったんですか?」
一転、朝間先生の声は低くなる。
予想していた問いかけに、当然のように応じる。