朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「………」
俺が手放していくものは、元から俺のものではない。
だから、執着も後悔もなく背を向ける。それだけだった。
それが冷酷とか言われる理由なんだろう。
でも、一度手の中に入れたものは、絶対に手放す気はない。
その数は、とても少ないだろうけど。
「さっき在義兄さんに、何言われてたんです?」
「え? いつも通りのご叱責ですが」
「……いつも怒られてんですか、貴方」
「いつもシメられてばかりですが?」
俺の返事に、朝間先生は平坦な瞳をした。呆れられたかな。
「戻りました~」
咲桜が戻って来て、また朝間先生といちゃつきだした。
……俺の立場は?