朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
side咲桜
「……お寺?」
流夜くんからのお誘いのデートで、何故か寺に連れて来られた。
しかもここって……。今回ばかりは流夜くんの考えがわかってしまい、狼狽(うろた)えた。
「ん。どうぞ?」
手を差し出されて、刹那迷ってから渋々の顔を隠せずに取った。
「……ここ、知ってたの?」
「在義さんから聞いた」
「……そっか」
私の視線は俯いてしまう。
……ここが嫌なわけではないのだけど。
大すきと連呼していても、まだ心に引っかかるものがあるのも否めない。
そこに在義父さんとではなくて流夜くんと一緒ってどうしよう。
「……嫌だったら、帰ろうな」