朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「はい。俺が生まれてすぐの事件です。ネットででも調べればすぐに出て来ますよ。俺も故意に隠したりはしていません」
「……その、何と言ったら………」
「何とも仰らなくて結構です。今になっては特に思うことないですから」
淡々と答えると、上司連中は本気で返す言葉がない。
特に思うことがない辺りが、俺の壊れ具合なのだろうけど。
「あれ? 今『神宮さん』て言いました? 朝間先生、知ってるんですか?」
「ええ。知ってるも何も、神宮さんは、私の幼馴染である人の、後継者の一人ですから」
「後継者の、ひとり?」
「はい。雲居くんと春芽くんと、三人、当代最高峰の刑事と謳われる方の、です」
朝間先生に追加説明されて、校長が唸った。
「……なんでそんな人が警察官にならなかったのですか?」